『Mysterium Fidei』 Daniel Martin Diaz (07 La Luz de Jesus Press 35ドル) 不敬虔な聖画
ビザンチン美術やゴシック美術系の宗教画(聖画)とメキシコのフォークアートとラテン語を織り交ぜた絵を描き、額縁も自分で作るダニエル・マーティン・デイアス。ホルバインの木版画集「死の舞踏」をカラーにした感じでもあり、夕暮れのような薄暗い雰囲気の中で、骸骨、デフォルメされたキリスト、枯れ木、眼球、切断された手首、人面蛇、十字架などが繰り返し描かれる。ダークだけどポップでもあり、背景はほとんどグラデーションの空だけというシンプルさ。油絵と線画を中心に収録している。タイトルもラテン語、英語では「Mystery of faith」の意味。ヘヴィロックバンドP.O.D.「Payable On Death」のアルバムジャケも描きました。自身でもBlind DivineというユニットでCDを出している。08.05.04のブログでちょこっと内容紹介してます。
オフィシャル
【http://www.danielmartindiaz.com/】
「Stretching
Canvas」 (08 International Tatto Art 7ドル) ポップアート新創刊!
刺青雑誌「 International Tattoo Art」の“タトゥー・アーチストによるタトゥーでなない作品を紹介する”コーナーから派生したポップアート季刊雑誌。表現場所を皮膚からキャンバスへと替える刺青師が多くなってきたのと、タトゥーでは無いので載せされなかった素晴らしい作品をただ見逃す手は無いという観点から発刊されたそう。今号では刺青師から画家になり、アメリカン・ポップゴシックな絵(孤独な人物と荒涼とした風景だがそこはかとない明るさが漂う)を描いているJoey
Remmers。ダークな宗教画(聖画)とメキシコのフォークアートとラテン語を織り交ぜた絵を描くDaniel Martin Diaz(この人お薦めです。ホルバインの木版画集「死の舞踏」をカラーにした感じ)。タトゥー・スタジオを経営しながら出っ歯の顔をデフォルメして描くのが好きと言うTim
Beck。その他ポップアニメSFな世界を描くJamie Burtonやクエイ兄弟に影響を受けた人形アニメ製作者(人形約20cmとその背景のセットも作って写真に撮ったり、あるいはアニメを作ったり、または絵本を作ったりしている)Chris
Sickelsなどが紹介されている。内容は08.02.24のブログをチェキ。
オフィシャル【http://www.internationaltattooart.com/】
『The
Art of Alex Gross』 Alex Gross (07 Chronicle Books 40ドル)
ニッポン大好き
子供の頃から日本が(視覚的な文化という点で)好きで、98年までは広告業界にいたが飽き飽きして日本に来日。昔(昭和初期[1930〜40年代]か)の薬のパッケージ本や古いSF映画ポスター本を買い創造性が再燃したというアメリカ人画家アレックス・グロスの作品集。オモロイ!浮世絵とトンプクとドラえもんが交じり合っている。顔の陰影がある浮世絵って不思議だ(笑)。髪を結った女性の絵に漢字(由紀子とか)やカタカナ(シンボシナサイとか)が英単語とともにデザイン的に配置されるポスター風な初期作品から、ヴィクトリア調の豪奢なドレスの女性と鹿(や羊)が併置される作品、セピア色(1860〜1920年代?)の人物写真に彩色した作品、そして近年の胸像人物画へと、アレックスの作風が変わってきたことが一望できる。全体に顔の表情や背景が暗い。SF作家ブルース・スターリングの論考、アレックスのインタビューが巻頭に、巻末にはエッチングや下描きも収録している。横尾忠則が好きな人にも薦めたいです。最近ではソニック・ユース系バンド?ブロンド・レッドヘッドのアルバム『23』のジャケを描いた。内容は07.07.01のブログをどうぞ。
オフィシャル【http://www.alexgross.com/】
『I was just leaving』 Richard
Coleman (07 Gingco Press 40ドル) 感情を表さない顔
アメリカ人画家リチャード・コールマン(b.1976)の画集。アクリル絵の具も使ってるようだが基本はカラーサインペン、真似しようと思えば直ぐ描けそうな画風だ。モチーフとして細身のピンストライプスーツの男、枯れ木、熊、生首、棺、などが出てくる。登場人物は男女ともに同じ顔で常に目が死んでおり(笑)、周りには家や草地が描かれている。特にストライプスーツの男はコピペ増殖したように何度も登場し、壁のブロックや屋根瓦が一枚一枚描かれるところは反復ミニマルか強迫行動っぽくもある。西洋人にしては珍しく、リチャードは輪郭線をきっちり描き、逆に陰影や遠近感をほとんど付けていないので、作品は極めて平面的である。一つ一つの登場人物はポップなのにそれらが集まるとダークな一枚の絵になり、且つ横長のものではストーリー性(日本の巻物っぽさ)も感じられる。アウトサイダー・アートやヘンリー・ダーガーが好きな人にお薦めしたい。布表紙の手触りもグー。なでなでしてチョ。内容は07.06.03のブログをどうぞ。
オフィシャルHP
【http://www.richardcolmanart.com/】
『The New Erotic Photography』
V.A. (07 Taschen 50ドル) アラーキー入ってません
14ヶ国82人の写真家による新しいエロスをテーマにした608ページの大著、Very 重〜い。モデルの顔を写さないボディスケープ的なエロティック写真はもう古い、という訳で編者ダイアン・ハンソンとエリック・クロールが選んだ基準は、モデルの表情が出てるもの、あからさまなセックス描写無し、過度な拘束無し、屹立したチンコ無し、男は小道具程度の役割であること、エログラビア雑誌系も無し、である。チンコよりも想像力を刺激する感じか。まぁこれだけページがあるとザーッとめくってしまいがちなので、日を置いて少しずつ見るのがいいかも。面白かったのは海産物とパツキンモデルの組み合わせがシュールなJean
Van Cleemput、ばあさんばっかり(この本では)のAlla Esipovich、デビッド・リンチの映画っぽいダークな都会の一室的Aaron
Hawks、フォトショップで衣装や背景や体をレタッチする童顔ナイスボディ好きなMike James、中世絵画のような色使いが美しいJan
Saudekなどなど。日本からは「ここ友達んちなのー」的直球リアリズムな宮下マキ、現代日本のアングラ童話を淡い色調で撮る村田兼一、モデルの冷めた目線と昭和エスクが漂う渡邊安治等が載っている。
『Supply & Demand』
Shepard Fairey (06 Gingko Press 60ドル) おーべい(OBEY)か
1970年アメリカ生まれのグラフィック・アーチスト、シェパード・フェイレイ。アンドレ・ザ・ジャイアントのシールを作って街中そして世界中に張って回るプロジェクト(捕まる事13回)や、毛沢東やニクソン、ブッシュ等の政治家を使ったポスター、オジー・オズボーンやシド・ヴィシャス、ボブ・マーリーを描いたポスター等、彼の17年の活動を纏めた集大成本(白黒240点、カラー560点計360ページ百科事典の一冊のような装丁)。ぼやけた又はかすれた感じを出すためにステンシルを使っている。プロパガンダな雰囲気を出すため色はクッキリ&ハッキリ、二色しか使ってないのもある。或いは人物の胸像を描き周りはアール・デコ?文様で過剰に飾り「Power
to the people」「Make Art Not War」或いは皮肉的に「Obey」「More Militerry Less
Skools」といったプロパンガが添えられる。カッコエー。何故アンドレなのか、過剰な資本主義や政治に対する疑問、作品についてのコメントなど本人によるエッセイも多数収録しているのでフェイレイの思想を知るのにも良い。超オススメ。内容は06.1203のブログをチェキ。
オフィシャル:http://www.obeygiant.com/
『Art of Modern Rock (The Poster
Explosion)』 Paul Grushkin & Dennis King (04 Chronicle Books $75
06 FM東京 \9500) 現在形のアート ポールとデニスが編者となって集めに集めたライブ告知ポスター約1800枚が500ページにも及ぶ縦34cm横29cmの大型本にぎっしり詰まっている。サイコー。・シルクスクリーンやPCを使ったポスター/ ・悪魔や狂気を取り入れたポスターといったようにテーマ毎に編集され章頭には短い概説もつく。さらに章の中ではポスター・アーチスト毎にまとめられており、顔写真やインタビューも載ってて親しみがわく。もちろんロック・ポスター画家と言えばこの人フランク・コジック(オフスプリングのブランコ子供ジャケが有名)も載ってます。日本人ツバキアンナ画伯のポスターもある!こうして見るとサイケ、アメコミ風、CG、版画調、パンク系切り貼り、コラージュと絵のバラエティもさることながら字体のカッコ良さにも惹かれます。モダンロックが好きな人は「えーあのバンドがあの前座でやってたんだ〜」といった楽しみもできます。Queens
of the Stoneageのポスターがやけに多い、人気あるんですね。日本勢ではギターウルフやチボマットそしてなんとルインズのポスターが[笑]。バロック時代の人物画のようなポスターを描くRandel
Chavezがスゴイ。誰かこの人の作品集出して。
『The Visionary Garden 2』 Philippe
Fichot (05 Ultra Mail Prod $??) 視聴覚の喜び Die Form名義でCDも出す写真家Phillippe Fichot(http://www.dieform.net)のCD付写真集(約170ページ!)。森の奥深く死体のように転がる全裸女性、ラバーマスク&コルセット&ハイソックス&緊縛のフェチSM系、機械に多重投射される女性、機械と融合しシンメトリーに配置されるバイオメカノイド写真、樹齢数千年の大木から生まれ出ずる人間、全てが白黒で撮影されたヨーロッパ・テイスト溢れる美しい写真となっています。所々中折になっててめくる楽しみ倍増。ジョエルピーター・ウィトキンの写真が好きな人にもお勧めです。フィリップはハッセルブラッドのカメラを愛用。【CD】インダストリアル・サウンドスケープな内容、荘厳な雰囲気のなか鐘が鳴りハイソプラノがループしながら飛び交う。薄暗いシンセサイザーにエレクトロニクス・ノイズが間欠的に入る。金属板を叩いてるようなパーカッションが入ったり、4ビートの荒廃インストや男が囁く歌物なんかも。最後にビデオクリップが入っていて、これまたグー。ナイフをなめる人、どこかの線路脇、河原での放尿、懐中時計の針を回す映像などがカットアップ的に現れる。ノイズが入る古色蒼然たるフィルムとインダストリアルな音がフェティッシュな雰囲気を醸し出しています。
『Mutter Museum』 Gretchen Worden
(02 Blast Books $50) 表層の下にある美
外科教授ムター博士が1856年にフィラデルフィア医科大学へ標本を寄贈したことに端を発するムター博物館の写真集(約190頁)。もとは医療関係者を対象としていた為医学的に珍しいものばかり、つまり繊細な方にはお薦めできないような標本の数々。骨格異常、胎児、シャム双生児、(現物維持が不可能な為正確に再現された皮膚病などの)蝋人形、また医療器具の写真とこれらの所蔵品を使って撮った現代写真家(Joel-Peter
Witkin, Richard Ross, Gwen Akinなど)のアート写真から構成されている。アートって言っても物が物だけに……(笑)。ムター博物館の歴史、重要単語解説、参考図書も付いてる親切設計。現在は一般者も入館可能。翻訳家山形浩生の体験記&館長グレッチェン・ウォーデン女史(1947-2004)へのインタビューはコチラ【http://cruel.org/takarajima/mutter.html】
『The portrait of innocent girls through
the amidacamera』 渡邊安治 (06 サブタレニアンズ \1600) 隠しテーマは剃毛?
S&Mスナイパー編集長兼写真家渡邊安治(b.1966)の展覧会図録(カラー24p)。ライムグリーンのぼんやりとした照明に浮かび上がる女性、田舎臭い服装なのに口にはボールギャグの女の子、ホテルの壁をバックに不機嫌そうに自分の首輪を引っ張る女といったポートレイト路線と、両手に旅行鞄を持ち線路脇にこちらを向いて佇む女性や砂丘で座り込み向かい合う二人(ガーター&ブーツ)や荒廃した山岳地帯で呆然としてる女の子といった風景写真的路線とで構成されている。全体に緊縛度&フェチ度は低く、モデル達の冷めた視線が印象に残る。あ、たぬきの尻尾のようなものが・‥…。初回300部のみ撮り下ろしオリジナルプリント(300枚全て違う写真のうち一枚)が入ってくる。オレのに入ってたのはこれ→。あなたのにはどれが入ってたかな?
この図録はサブタレニアンズ(http://www.subterraneans.jp/)でしか買えない。
『All Riot on the Western
Front: The Montage Art of Winston Smith Vol.3』 Winston Smith (04 Last
Gasp $25) 糊とはさみが全て
デッド・ケネディーズ一連のジャケットやグリーン・デイ『Insomniac』のジャケで有名なコラージュ・アーティスト、ウィンストン・スミス(b.1952)のモンタージュアート三部作最終刊。オフィシャルHP(http://www.winstonsmith.com/main.html)で色々見れます。
オモロイ。「普通そういう人はそういう物を持ったりしないし、そういう所にそういう動物はイネーヨ」ってつっこみたくなるような不思議なコラージュ世界。古き良きアメリカ的な絵、宗教画、動物、魚などが素材として頻繁に使われている。大自然の中に宮殿があって上空には宇宙船が飛び、横にはカメラマンが、その背景にはスフィンクスが鎮座し、目の前の画家の顔は何故か馬、といった陽気な錯乱夢を見てる感じ。
“God Bless America”とナチ政権モットー“Gott mit Uns”(God with Us)とはどの位違うのか?また“Support
Our Troops!”と言いながら退役軍人サービス費や給付金をカットし戦死者遺族給付金を下げるのは何故なんだといった本人によるブッシュ政権批判エッセイも多数収録されている。ペーパーバック(雑誌の増刊っぽい作り)でこの値段、ハードカバーは$40。
『I want to spend the rest
of my life everywhere, with everyone, one to one, always, forever
now.』 Damien Hirst (97 booth-clibborn)
1965年イギリス生まれダミアン・ハースト、縦横約30cm厚さ4cmのちょ〜豪華本(重〜い)!なんかちょ〜っと気分悪くなるようなインスタレーション(?)、医薬品を棚に並べた作品、ポップなカラフル水玉模様を並べただけの作品まで色々入っててグー。3.6メートルの鮫をそのままフォルマリン漬け、牛の輪切り分断ホルマリン漬け、子牛を頭から尾にかけて割ってホルマリン漬けといったホルマリンシリーズがサイコー。本自体も凝っていて、飛び出す絵本的仕掛け、スライドすると別の絵になる、分断牛を両側から見れるように写真を張った透明シートなど。本人のホルマリン漬けポスター付き!
『Lost And Found』 Mark Kostabi
(94 Rossano Massaccesi Editore)
イタリアで出たマーク・コスタビのベスト画集(120枚のオールタイム・ベスト[本人談])。キース・ヘリングの絵を三次元的に描いたようなポップ・ワールド。表情の無いマネキン(原色系)が集まって議論したり、愛し合ったり、ある時は一人膝を抱えたりしている。街やレストランといった背景も全て丸や四角に簡素化され、単色で平坦に塗られる。いわゆる名画を元にした作品もあって面白い。そこはかとない孤独が全体に感じられてグー。 Guns
& Roses『Use Your Illusion』のジャケットも載ってます。HP→http://markkostabi.com/
『Art
In Nature』 Nils Udo (02 Flammarion $55) ユートピア製の現実
ピーター・ガブリエル『OVO』のジャケットで有名。巨大な自然インスタレーションから葉っぱを浮かべただけの小さなものまで、ドイツ人美術家ニルス・ウド(1937年生まれ)の作品集。今年(02年)日本で巡回展をしたので知ってる人もいるかな?
色々な草花、木の実を使って美しい別世界を作り出す。普段気にも止めない物にほんのチョット手を加えるだけでこんなにも不思議&麗美な風景が現われる。ニルス・ウドは魔法使いだ。しかもその魔法は誰でもできる簡明さなのだ。今すぐ真似してニルス・ウドごっこができる。タノシイ。(神奈川県藤野で行われた)10メートルくらいのクレーターに竹を敷き詰めた巨大な巣のインスタレーション制作中の写真も載っている。
http://www.eco-art.com/dynamic/artist.asp?ArtistID=16#artworkで幾つか見れますよ!